戦いの士気も上がる特効演出は日本プロレスにかかせません。

最近の格闘技の試合は、インパクトのある選手の入場シーンで、観客の度肝を抜くところから始まるケースが多いようです。ボクシングのタイトルマッチでは、必ずといっていいほどスモークを焚いた中で、観客の頭上にレーザービームを照射しながら、選手が入場します。それだけで、観客はノリノリになるほどで、たちまち場内は興奮のるつぼと化します。ボクシングより、さらにエンターテイメント性を重視する、プロレスの入場シーンでは、桁外れの演出をする選手もいます。過去には天井から降りてきたり、戦車やトラックに乗って、登場した選手もいるということですから、スケールの大きさに驚くばかりです。

ここまで凝っていなくても、選手が入場する前にVTRを流したり、派手な入場曲をバックに登場するのは、今では当たり前になっています。観客はすでに興奮状態で、選手が登場すると同時に発射される大量の紙吹雪や、紙テープなどとともに、怒鳴り声に近いような声援が飛び交います。さらに、選手がリングまでの花道を歩く間に、次々と火炎が噴きあがるので、いやが上にも盛り上がるでしょう。こうして、2人の選手がリングにあがったときには、観客のボルテージも最高潮に達しています。まだ試合が始まっていないのに、観客をここまでヒートアップさせる技術は大変なものです。

もTろん、この裏で活躍しているのは特効演出で、多くのスタッフがそのための準備をしています。派手な登場をすると、レスラーとしての注目度は上がりますが、その分費用もかかります。お金に余裕があれば、どんなに派手な演出もできますが、かけられる費用には限度があります。プロレスは、エンターメント性の高いショーなので、お金がかけられないのなら、別のアプローチ方法の選択も可能です。プロレスは、あらゆるスポーツの中で、唯一覆面をかぶることが許されています。インパクトのある覆面をかぶることによって、レスラーとしての知名度を上げることもできます。

過去の有名なレスラーの中に、覆面レスラーが何人も含まれていることを見ても、覆面がプロレスにとって、重要なアイテムであることがわかります。プロレスの醍醐味は、派手な入場シーンと華麗な技、そして覆面レスラーという悪役の存在です。これらはすべて、誰でも見て楽しめるもので、子供でも理解しやすいので、年齢の垣根を越えて多くのファンを魅了し続けているのです。また、プロレスではしばしば、型破りな試合展開が行われます。たとえば、過去に「ノーロープ有刺鉄線電流爆破」と題する試合がありました。リングのロープの代わりに有刺鉄線を張り巡らし、そこに電流を流してしかも爆破するのですから、まさに型破りです。このような仕掛けは、プロレスだからこそできる特効演出と言えるでしょう。